朝星夜星(朝井まかて)
「料理人は朝は朝星、夜は夜星をいただくまで働くったい」
日本初の洋食屋を作った草野丈吉の妻、ゆきの物語。
夢を追いかける男とその糟糠の妻の話と言えばそうなんだけど、この丈吉の女癖にイライラしちゃってもう!
最初はね、本当においしそうに食べるゆきを見染めた丈吉を見る目のあるいい男だと思ったんですよ。
ところがどっこい、プロと遊ぶも本気にさせて手切れ金を払う、新しい店の店員にやる気ない愛人を入れる、挙句に三人の妾を囲う。
途中読むのが辛くなってくるも、松竹梅のあたりからいっそ笑えて来ちゃって。
どんなときも長崎訛りの抜けないゆきのおおらかさに救われて読了しました。最後がゆきと松竹梅で締められるのもよかったな。
私はゆきに「押しが弱い、撤退が早い」と言われてしまった星岡さんが好きです。
長生きしてほしかったけれど…