回樹(斜線堂有紀)
連作短編集。作者初のSF作品とのことだけど、いい意味で斜線堂さんお得意のジャンルという感じ。
テーマは愛。だと思う。私も大好きなやつですね。
「回樹」死体を取り込むとその人への愛情が転移する木。愛していなければ…
「骨刻」もし骨に文字を刻む技術があったら…
「BTTF葬送」映画には魂がある。古い映画を“葬送”しなければ新たに面白い映画は生まれないとしたらどうする?
「不滅」もし死体が永遠に“不滅”になったら…死体の置き場所はどうなる?
どれもよかったけど、特に好きなのはこのへん。結局どうしようもなく愛の話をしておりそこが好きだなあ。
SFとしては、「骨刻」や「不滅」のように、新しい技術や現象が最初どう受け止められ変化し最終的にどう行きつくのかが描かれるのも面白い。
切なさが残る話が多い中、軽やかさのあるBTTF葬送が一番好きかもしれない。
すごく面白かった。斜線堂さん、またこの路線も読んでみたいです。
(あでも、ひとつだけ。恒例の死ぬほど読みにくい登場人物の名前はそろそろやめてもらいたい…)