旅と本

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とりどりみどり(西條奈加)

 

「いいじゃないですか、とりどりみどりで」

鷺之介は数えで十一歳、裕福な廻船問屋の末息子。優しく思慮深い長兄は大好きだけれど、かしましく強すぎる姉三人には振り回される日々。

最初の長姉の嫁ぎ先の話で、姉の夫をただの嫌な奴で終わらせてしまわないところでぐっと引き込まれた。このバランス感覚というか、「塩梅」はラストまで続いていて、ずっと影の薄かった年中留守にしている父親が最後いいところを持っていくのがとてもよい。姉たちが強烈な話ではあるんだけど、父と兄の秘密のサシ飲みでぴしっと締まるというね。いつか鷺も加わって三人で飲めるといいね。

そういえば鷺は弟か妹ができるかも…なんて心配をしていましたが、たぶん、できないんだろうなあ。

とてもいい話でした。

 

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